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【♯グップラ】使用済みタオルを工業用雑巾に再利用 塗装会社と理美容グループが連携(岩手県)



日本テレビ系列のグップラ、「地球にいいこと人にいいこと。」を考える「グッド・フォー・ザプラネットウィーク」のシリーズです。2回目は、古くなったタオルを工業用の雑巾に加工して再利用する取り組みです。県内の塗装会社が理美容業大手と手を組み、地球の未来を考える活動を取材しました。

矢巾町の美容室です。日々、タオルが大量に使われています。その数、1日あたりおよそ100枚から150枚。古くなった使用済のタオルが、工場などで油や汚れをふくのに欠かせない「ウェス」と呼ばれる工業用の雑巾に生まれ変わります。

もともとは盛岡市の塗装会社が始めた取り組みの理念に共鳴し、塗装会社と県内大手の理美容室グループが5月、異色のタッグを組みました。

その名も「リンクアップウエス」。つながるを意味する「リンク」と「より良く」という意味が込められています。

ヒラトヤ・中村広隆取締役
「理美容室の方で出る使用済みタオルをこのリンクアップウエスに寄付させてもらい、再利用してもらう」

塗装会社の専務取締役、川上冴華さん。衣類のおよそ74%が焼却処分されていることを知り、4年前、家庭や学校などから使われなくなった布を譲り受け、この活動を始めました。根幹にあるのは”SDGsに取り組む敷居を下げたい”という想いでした。

川上冴華専務取締役
「SDGsというと壮大なイメージができてしまうが、日々の生活中から取り組めることがあるよっていうのを知っていただきたくて」

集まった布を裁断しているのは、盛岡市内の福祉作業所です。

高橋倫さん
「ミスというのも少ない、置きにくい作業なので、作業する人にとっても達成感、得られますし、作業ができたという自信につながるかなと思う」

「ウエス」は、英語で”無駄”や”ボロ”を指す「Waste」が語源。その名の通り、使われなくなった布で作られていて、端が縫われていないのが雑巾との違いです。

この「ウエス」をつくる作業が、障がいがある人たちの仕事を支えています。

この活動に感銘を受けた空調設備の修理などを手掛ける矢巾町の会社は、それまで他の業者から買っていた工業用の雑巾を3年前、「リンクアップウエス」に変えました。

信幸プロテック経営管理部主任 照井りえ さん
「タオルを作ることによって福祉施設の方で作業しているというのでお互いにいい形で環境に優しいことができるのではないかと思った」

売り上げの一部は福祉作業所の工賃に充てられていて、貧困で苦しむインドの綿農家にも寄付されています。

環境問題だけでなく、福祉現場の雇用問題、世界の貧困問題の解決にも繋げようという「リンクアップウェス」の活動。今後、より多くの企業に広げようとする中、こんな悩みが…

川上さん
「いつだれが持ってくるか約束できた状態ではない。そこが安定的に販売し続けるためには不確実だなと思っていて」

"ウエスの材料となる布を安定して手に入れる"それを解決したのが、日々、理美容室で大量に使われているタオルでした。シャンプーのあと、髪の毛の水気を切ったり、散髪台で水やカラー剤が服につくのを防いだり…

理美容室グループのリネン事業部では、盛岡市とその近郊にあるあわせて33の店舗からタオルを回収し、洗濯しています。

しかし、繰り返し洗って使っていると…

中村さん
「やはり長年使うことで経年劣化があったり、このようにカラー剤が付着することがあるので」

こうなってしまうと、お客さんにはなかなか使用できません。こうしたタオルは、1か月に500枚ほど出ていて、これまで一部をガソリンスタンドに寄付し、ほかは廃棄していました。

中村さん
「廃棄するという前提だと、ぎりぎりまで使いたくなったり、なかなか交換したくないという気持ちがどうしても会社としても持ってしまっていた部分があるが、あくまでも捨てるのではなく、次のステージで活用すると考えることで、タオル自体の切り替えのサイクルも早くできるし、それは周りに回ってお客様だったりとか、あとは、お店の従業員にもプラスになると考えている」

県内の様々な企業を巻き込み、広がっていく「リンクアップウエス」。川上さんが目指すのは、各都道府県でこういった活動を広めていくことです。

川上さん
「『塗装屋ができるんだったらほかの業種でもできるだろ』って思ってほしくて」「中小企業が変われば世界が変わると思っているので、まずは何か取り組んでみるチャレンジしてみる一つのきっかけになればいいなと思ってやっている」

いらない布を寄付する。より地球や人に優しい社会を目指して。

地球の未来は、人々の一歩で守られることを「リンクアップウエス」は証明していきます。

(06/03 18:39 テレビ岩手)

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