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田野畑村の農場でもシカによる被害(岩手県)



シカやクマ、イノシシなどの野生動物による農作物被害は深刻さを増していますが、これまであまりシカの被害がなかった沿岸北部の田野畑村の農場に大きな群れが住みついて農家を困らせています。専門家は地球温暖化でシカが北上したことを示す象徴的な映像だとしています。

田野畑村の吉塚公雄さん一家の農場です。

田野畑山地酪農牛乳代表 吉塚雄志さん
「これがシカのふんですね。こういうのがそこら中に」

吉塚農場代表 吉塚公太郎さん
「放牧地のそこら中に落ちている。人に慣れてしまってここから足跡があるここから出入りしている。もう少し電線(電気柵)が高かったが、もっと下げて入らないようにしているが、身体が柔らかいから入る。去年は10頭ぐらいだったんですが、きのうは30頭くらいいましたシカが。放牧地で30頭、採草地で15頭ぐらい最悪ですね」

田野畑村の吉塚農場の牛は、山に生える草と自前の牧草だけで育ちます。
多様な草が牛を育くむ山地酪農。豊かな緑はシカの格好の住みかになっています。

記者「いた?」
吉塚公雄さん「アッいた!すごいすごい冗談じゃないよ本当に、1頭や2頭ならともかく」

吉塚公雄さん
「山地酪農では1ヘクタール当たり成牛を飼うのは1.5頭までとなっている。それで精一杯やっているのに、20頭も30頭もシカに入られて草を食われたら死活問題」

吉塚雄志さん
「たどればもともと野生動物が住んでいたところに私たちがいるというのは間違いない。実際山地酪農家たちが山地酪農に限らず牧草収穫をしているところは、みんな同じような被害を受けている。それが経営にもかなり影響している」

記者「今まで山地酪農って自然な酪農でやってきてこういうことはなかったと思うんですが」
吉塚公雄さん「これほどひどくはなかったシカも来なかった(釜石大船渡住田町にまたがる)五葉山が北限と言われたので安心していた。やっぱり温暖化のせいで北上」

岩手大学でシカやクマなど野生動物の生態を研究している山内貴義准教授に、今回の映像を見てもらいました。

岩手大学農学部 山内貴義准教授
「温暖化も影響している。もともと雪に強くない動物足が細いので、雪に足を取られる分布を広げづらかった。雪が少なくなっている。雪があるとエサが食べられない、下草が食べられない、雪が少なくなって少し掘れば草が食べられる冬を何とかやり過ごす個体が多くなっている。そういった温暖化の影響もある」

記者「まだ今まではシカが多くないとみられていた田野畑で、こんなにシカがいたという象徴的な映像ですね」
山内准教授
「そうですねそうなると思います。これからもっと増えていく可能性はある」

山内准教授はハンターにシカを駆除してもらうこと。またシカ対策の防護柵を張ることが大事で、そうしたことに対する行政の補助もあるので活用してほしいと話しています。

(04/18 18:22 テレビ岩手)

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