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【特集】定点B岩手県立博物館の裏側に密着 (岩手県)



シリーズ「定点観測」です、3回目は、盛岡市の岩手県立博物館です。資料の修復作業など、ふだんは見ることのできない博物館の裏側に密着しました。

岩手屈指の展示数を誇る「岩手県立博物館」。1980年、昭和55年の開館以来、多くの来館客を楽しませてきました。

午前9時45分、オープンして間もなくやってきたのは一人の男性です。

男性「昔学生の頃 盛岡におりまして、それでよくこの博物館に来てたものですから。基本的な展示はそれほど変わってなくて、悪くないと思います」

東京からはるばる県立博物館へ。各地の博物館で写真を撮るのがお好きなんだとか。懐かしの場所で、良い思い出を。

午前10時15分。展示室に資料が運び込まれ、作業をする学芸員がいます。

学芸員「もともとここに、大きな牛のレプリカがあったん ですけど、他の博物館にお貸ししているので、お貸ししている間に展示替えと いう形で、準備していました。 まだ地下にもたくさん展示を待っている標本がありますので、 随時入れ替えながら新しいものをお見せしたいということで」

そう、ここ県立博物館に収蔵されている資料の数はなんと38万点。そのため、館内に展示している資料は、ほんの一部です。

午前10時40分。地下に特別に案内していただきました。

Q「この資料は今何をやってたんですか?」
学芸員「そちらにある機器で、消毒っていうんですかね。…こちらになります。博物館で資料を保管するときに、 やはりカビとか虫とかそういうものが付いていたらいけないので、収蔵庫に持っていく前にこちらで消毒してというのが必要になっています」

大切な資料を守るためのお仕事です。こちらの大きな機械の中にも資料を入れて何をしているのでしょうか。

学芸員「陸前高田の震災で被災した紙史料を入れて乾燥させる作業を行っています。このまま常温で置いておくと腐ってしまうので被災前からこういう機械はあったんですけど、その技術を応用して、被災資料を乾燥させるということを今も行っています」

さらに隣の部屋では。

Q「こちらも被災したものになるんですか?」
職員「被災したお着物になります。傷んだところとか、穴が開いたり、すごく汚れている箇所とかありますので、そういった所を 記録に残しておく作業です。復興に少しでも貢献できてるのかなという点ではありがたいなと思って」

震災から14年経った今なお、修復を続ける職員の皆さん。頭が下がります。

午前11時30分。研究室では、民俗学の学芸員さんが細かい手作業をしていました。

学芸員「今研究してる『盛岡毛鉤』って いう昔ながらの釣りの仕掛けがあったんですけれども、その毛鉤の再現を自分で作っているところです。 地域に根付いていた文化というものを皆さんに知っていただきたいという思いで、研究テーマにしました」

午後1時30分。体験学習室でも、解説員が何かを作っています。

解説員「体験教室で使う材料の準備をしていました」
Q「こういうのも職員の皆さんで手作りで?」
解説員「そうなんですよ。職員で材料を準備して皆さんに楽しんで作っていただいてました」

子どもたちに人気がある体験教室。実は 解説員の釜石さんも、子供の頃からこの博物館に足を運んでいたそうです。

解説員「私は子どもの頃からこの近くに 住んでいたので、まさか子供の時に親しんでいたこの場所で働けるとは思っていなかったので、とてもやりがいは感じております」

お客さんだけでなく、職員の皆さんにとっても思い入れのある場所。地域に愛され続けている理由の一つです。

午後2時30分、特別展の部屋にはご夫婦の姿が。

女性「博物館自体見るのが好きで、結構旅行した時とかも色んな所の博物館は行くので、 地元は行かなきゃいけない 。どこの博物館に行ってもその場所の地理的な歴史を知りたくて行ってるので、岩手について展示してるところがいい」

学芸員「来て初めて触れるものというのは多分思ってる以上に 多いのではないかと思いますし、 これだけ多岐にわたる分野が一か所で見られるというのは、 なかなか無い施設だと思いますので、ぜひお越しいただければと思います」

岩手の様々な文化を知ることができる学びの場。その裏側には、来館する人々を楽しませるため、人知れず作業に勤しむ職員の姿がありました。

(07/24 18:40 テレビ岩手)

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