■「笑顔で自分らしく」 国内でも症例数少ない染色体異常 岩手県北上市の小原晴琉さん (岩手県)
岩手県北上市で暮らす小原晴琉(はる)さんは、国内でも症例数が少ない染色体異常の「9トリソミーモザイク」という希少難病です。
立って歩いたり、話をしたりすることはできませんが、周囲の人たちは日々の成長に目を細めています。
笑顔が素敵な晴流さんと家族の日々を見つめます。
北上市で暮らす小原晴琉(はる)さん13歳。
立って歩いたり、話をしたりすることはできません。
母の麻依さんです。
母・麻依さん
「(病名でいうと)染色体異常・9トミソリーモザイク。(出産)当時は(世界で)50人で、日本に7人くらいしかいないと言われていて」
生まれた時の晴琉さんです。
目が小さく、唇が裂けた状態でした。
「いつ死ぬか分からないって散々言われて育ってきたので、 すごくへこみがちでしたね」
これは、誕生から現在までのアルバムです。
「助産師さんが 本を見せてくれて、障害のある子は勇敢な子なんだよっていう内容の本だったんですけど。それを心の頼りといいますか。段々受け入れて来れて。かわいいなっていうか」
「活発な子です。(話は)何でもわかっている子です。好きなことは、かまってもらうこと。きらいなことは、一人にされる」
母・麻依さんは、一日一日を大切に娘の成長に目を細めてきました。
晴琉さんは2人きょうだいです。
妹の望瑚(みこ)さんは地域の学校に。
晴琉さんは花巻の特別支援学校に通っています。
最近は目の動きをセンサーが捉える「視線入力」にも挑戦。
カラフルなアート作品を描いています。
晴流さんは色鮮やかな心の持ち主です。
しかし、見た目だけで冷ややかな視線にさらされることもありました。
「『何なの、この子』みたいな。こう回ってきて、顔を見ていくっていうか。普通にあの話しかけてくれればいいのになぁと思うけど。その親の対応っていうか『見ないの』みたいなことも言われることもありますし…」
母・麻依さんはいつでも、晴琉さんが生きやすい社会を願っています。
7月20日。
母の麻依さんは、晴琉さん、娘の望瑚さんと一緒に花巻へ出かけました。
「こんにちは」
出迎えたのは同じく障害がある子を育てる家族「ぽっぽの会」のメンバーです。
「ぽっぽの会」は、障害がある子とその家族が地域でもっと生きやすくなるようにと活動する団体で、晴琉さん一家もその一員です。
月に2回の交流の場。
この日は福祉に興味がある若者たちも集まり、一緒に音楽を楽しみました。
「(晴琉さん)中2ですよね。かわいいです」
晴琉さんを知る人が増えることが、生きやすさにつながる。
母・麻依さんはそう考えています。
晴琉さんは現在、支援学校中学部の2年生。
週に2回、自宅などで授業を受けています。
マンツーマンでの授業です。
花巻清風支援学校 中村友紀子 教諭
「どうぞ。上手です」
まずは風船を使ってアート作品の制作です。
鏡で色合いを確認しながら、先生と一緒に色を重ねていきます。
作業開始からおよそ10分。
鮮やかな色合いのアート作品ができあがりました。
「『できた』という表情になった時に、ニコッとします。充実感を晴流さんも感じてくれているのではないかと思ってやっています」
「これで。手で。手を使いますよ」
この日は、運動会の練習も兼ねて「ひとり玉入れ」にも挑戦しました。よく動く右手を使います。
「素晴らしい。入りました」
「よいしょ。よいしょ。もうちょい。やった」
晴流さん、手に力を込めます。
1個。そしてもう1個。
「うまい。入ったよ。まる」
小さくも確かな成長の証しです。
「頑張れ、頑張れ、晴琉さん。やったー」
周りと比べることなく、自分らしく―
小原晴琉さん13歳。
いまを精一杯生きています。
(08/31 18:32 テレビ岩手)
・TOP
Copyright(C)NNN(Nippon News Network)