■挑戦B築100年のかやぶき屋根の古民家が民宿に 移住した若者が改修しオープン 岩手県遠野市(岩手県)
岩手県遠野市にある築100年のかやぶき屋根の古民家が、民宿として生まれ変わりました。営むのは全国を転々としてきた異色の経歴の2人です。
篭家遠野 廣部二葉さん(24・東京都出身)
「かやぶき屋根がそのまま残っているお家って遠野でも珍しい。私たちも近所では見たことがない。そのお家に住めるってなかなかない。最初は勢い半分で住んでみた」
篭家遠野 小川一生さん(24・千葉県出身)
「ちょっとジブリっぽいって言ったらあれですけど、異世界みたいな感じが惹かれましたね」
日本の原風景が残る遠野市附馬牛町(つきもうしちょう)。100年近く前に建てられたかやぶきの民家が、この春、民宿としてスタートしました。
廣部二葉さん
「ここが、皆さんがくつろぐ居間とキッチンですね」
古民家の造りを生かしながら、使いやすさも工夫。朝日が差し込む寝室もおすすめ♪温もりを感じる素敵な時間が過ごせます。
営むのは小川一生さんと、パートナーの廣部二葉さん。ともに関東出身の24歳です。以前は沖縄の西表島で働いていましたが、2024年、遠野市に移住。このかやぶき民家を譲り受けました。
廣部二葉さん
「ここに住んでいた方が、ここが空き家になるっていうのを言ってたので、良かったら住んでみる?みたいな。冗談半分で聞いてくれて。ちょっといいかもしれないって真に受けて。そこから次の日には住んでみたいですって連絡した」
二葉さんのお母さんも数年前から岩手に移住していて、そうしたつながりも重なり、この新たな生活が始まりました。
オープンから2週間、既に数件の予約もあり、日々の薪割りにも力が入ります。
ディレクター
「なかなか骨の折れる作業ですね」
小川一生さん
「そうなんですよ。お金持ちのおじさんたちはみんなポチッとしたらビーンって(割れる)やつ、欲しいんですけど…」(薪が割れる音)
主に外回りを担当する一生さんは、古民家の修復も自ら施した腕の持ち主。過去にはインドネシアに渡り、現地の農家を手伝ったり、沖縄ではカヤックのガイドをしたりと様々な経験を積んできました。そうした中、大きな課題も…。
小川一生さん
「下地が何本もあるんですよ。このくらいの丸太で、その跡が出てきちゃっているじゃないですか。相当薄いので。いいとこだと1mはないですけど、70〜80cmぐらいの屋根の厚みあるところが10cm、20cmとか4分の1とかになっちゃっているので」
かやぶき職人の友人の力も借り、小さな補修はしつつも、大きな補修には多額の費用もかかります。一生さんにとってこの「かや」を守ることも民宿を営む"原動力"と言えるのです。
廣部二葉さん
「骨董市とか買ってきたものがあるんですけど。もともと好きではあったんですけど、こういうふうに手に入る環境がなかったんで。こっち来て、骨董市がたくさんいろんなところであったりとか。例えば、大迫の星耕茶寮さんとか、そういうところで見つけたのをちょっとずつ集めてきて、結構古くて使ってないものがいっぱいあるなと。だからそういうのを使えたらいいなと思って」
部屋周りや食事を担当する二葉さん。過去には京都で野草料理の教室で助手を経験。日本古来の暮らし方を学び、現在の古民家暮らしに生かしています。
廣部二葉さん
「私たち若手っていうのもあって、結構喜んでいただけた。よく来たねって言ってくれた方が多くて。近所の方が玄関にある看板を作ってくれたりとか。応援するよって言ってくれる人が多かったので、それがありがたかったです」
このかやぶき民家は、もともと現在の場所からさらに山側に位置しており、80年ほど前の大雨で浸水し、現在の場所に移築されました。そこから歴代の住人が屋根をコツコツと吹き替え、床を張り、絶えることなく人が住み続けてきたんだそうです。
地域との関わりの中で二人が大切にしている神楽の継承。繋がりある特別な場所に案内してもらいました。
ディレクター「すごいかやぶきですね!」
廣部二葉さん
「そうなんです、ここも茅葺ですね」
廣部二葉さん
「私たち本当に勢い半分で来てしまって、受け入れてもらえるのかなっていう不安が結構あったんですけど、こうやって神楽やってて、この神社と関わることで何かあってもいいのかなみたいな、認めてもらえるかなみたいな、ちょっと安心感もあって、結構ここの神社の存在が大きかったかなって思っています」
遠野の季節の恵みも味わえる篭家遠野(かごやとおの)。まだまだ勉強中だという郷土料理もだんだんと増えてきました。
廣部二葉さん
「きょうはひっつみです。なかなか薄く千切るのが難しいて」
廣部二葉さん「まず入った時に結構いぶしたような匂いがするんですけど、そういうのをなかなか体験することないと思うので、こういうところに泊まってみて、新しくいろんなことを感じてほしいなと思って。ちょっと懐かしさもありつつ快適にはしているので、そういう暮らしをちょっと体験してみてほしいです」
守り続けられるかやぶき民家。受け継いだ若い2人が新たな歴史を紡いでいきます。
(04/17 19:32 テレビ岩手)
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