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生後1年の生存率は1割「18トリソミー」“意味あって授かった命”と生きる家族の覚悟と奇跡《長崎》(長崎県)



18番目の染色体が1本多い 染色体異常症『18トリソミー』の男の子。

4年前、県内で初めて人工呼吸器をつけて通学をスタートしました。

春から小学4年生。家族の今を見つめます。


【NIB news every. 2025年3月25日放送より】



◆1歳までの生存率が10%未満 ダウン症の次に多い「染色体異常症」

(ストレッチ)
「はいスタート。力を入れて。もうちょっと頑張れ。上手、スイッチオン!」

長崎市内の特別支援学校に通う小学3年生の出口 大空くん。

人工呼吸器をつけて、学校生活を送っています。



大空くんは、18番目の染色体が通常より 1本多い『18トリソミー』(エドワーズ症候群)。

ダウン症候群(21トリソミー)に次いで多いとされる染色体異常症で、知的発達の遅れや成長障害なども伴います。



◆大変なんて思わない「ニコニコ… その笑顔を見たくて」 


2016年3月22日、1680gで生まれた小さな命。“大空” と名付けられました。

『18トリソミー』で生まれてくることを医師から告げられたのは、母 光都子さんが妊娠5か月の時。

生後1年以内に “約9割” が亡くなるといわれている、重篤な病気ということも聞かされました。

家族会議を開いて、家族みんなが出した答えは… “家族に迎えよう” 。



(母 光都子さん)
「この子の命は “意味があって授かったんだ” と思って。あとは、家族が後押ししてくれて」

父の雄一さん(48)、姉の心実さん(21)と、心晴さん(19)。

家族で過ごす当たり前の日常に、心から幸せや喜びを感じています。



(母 光都子さん)
「周りから見たら大変、大変と言われるが、楽しいこと見つけて生きているから楽しい」


大空くんのベッドは、体調の変化がすぐわかるようにキッチンの目の前にあります。

歯磨きするときも…。

(母 光都子さん)
「ゴシゴシ。右手と左手と今、触ってます」

たくさん声をかけながら、優しく楽しく。

(母 光都子さん)
「声に対して反応がいいので、私もオーバーなくらい笑ったら(大空も)ニコニコ。その笑顔を見たくて」



◆家族みんなが思い合い… そして支え合う

食事は、ほとんどが胃に直接投与する「胃ろう」で行います。

栄養剤やミキサー食、てんかんの薬なども、自宅では1日10回ほど、家族が与えています。

着替えを担当するのは、父 雄一さん。

ここでも細かい気配りが…

( 父 雄一さん)
「肩とかが外れやすい。その辺が外れないように。可動範囲を意識しながらやっている」


出口さん一家には、“ルール” があります。

(母 光都子さん)
「食べたら、自分の分は自分で洗う。数人分の洗い物も、結構な時間をとるけど、こうやって一人分だとちょこっとなので。このスタイル」

同居する祖父母も、できることは自分たちでやります。



◆多くの人とのふれあいや頑張りがうむ “笑顔”

前7時、学校の時間です。

県の「就学奨励費」を使って、福祉タクシーで通学する大空くん。

学校まで片道1時間、光都子さんも付き添います。

去年6月から、看護師が代わりに同乗する「通学支援」が始まったものの、週に1、2回に限られ、十分なサポートとは言えないのが現状です。

それでも “通学” にこだわったのは、たくさんの人と触れ合ってほしいという思いがあったから。

(母 光都子さん)
「きょうも楽しんでね。いってらっしゃい」

学校に通い始めて、“笑顔” が増えたと言います。

クラスには、先生のほかに “看護師”も。

血中酸素濃度や心拍など、大空くんの異変にすぐ対応できるよう、備えます。

毎日行われる授業の一つが「自立活動」。

自分の力で体を動かすことが、ひとつの目的です。

大空くん、寝返りが少しできるようになりました。

動くたびに、心拍数などをチェックして続けるかを判断します。

(先生)
「ちょっと今頑張りすぎて、息が上がっちゃった。大丈夫」


呼吸を整えて、もう一度。自分の力で座り続ける練習です。

(先生)
「いいよ、すごい」



◆大空くんが教えてくれる「命の尊さ」

一日一日、大空くんが重ねてきた日々は“奇跡の連続。

ベッドの上に飾られた手作りの『王冠』は、大空くんが元気に過ごした証として飾っています。

(母 光都子さん)
「1か月、大空が元気に過ごせたという思いを込めて(王冠を1か月ごとに作った)。作っていったら、もう107か月になって。

(飾っているロープ)がいっぱいになったら、1歳 年を重ねられる。だから目標は、この飾りを、もっともっと、いっぱいにする」

“来年の誕生日を迎えることが、できないかもしれない”



そんな思いで毎月、生まれた日付の「22日」に開く誕生日会。

家族手作りの “王冠” をつけ、毎回、毎回、みんなでお祝いしてきました。


そして迎えた今年の3月22日。『9歳の誕生日』です。

(家族)
「ハッピーバースデー ディア 大空くん〜♪。
おーちゃん、おめでとう 9歳」

(母 光都子さん)
「正直ここまで生きるって思っていなかったので。
“よくぞ”という気持ち。

短命だの、なんだの、レッテルを張られているかもしれないけど。

“ぼくはまだまだ人生楽しみまーす。” ってね。

おーちゃんね、まだまだ頑張って…。一緒に生活できる日々が続くと信じてます」

あの王冠が、いっぱいになる日を信じて…。

家族の愛に包まれて、また1つ 年を重ね、そしてこれからも…
共に生きていきます。




出口家では毎年1つ目標を立てていて、今年は新スタジアムの見学も合わせて、V・ファーレン長崎の試合を観るのが目標なんだそう。

笑顔あふれる日々がこれからも続くよう、心から祈っています。

(04/22 06:45 長崎国際テレビ)

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