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「行けないなら代わりを用意しろ」 中高生3人が集められた光市の強盗予備事件 『武田信玄』と名乗ったリクルーター役の男が判決前日に語った事件の経緯とは(山口県)



2024年10月、関東地方で『闇バイト』がきっかけとなる凶悪な強盗事件が相次いでいた時期、山口県光市でも強盗予備事件が発生。その実行役が、関東地方に住む中高生3人だったことに、多くの関心が集まりました。どのようにして中高生らが集められ犯行が行われたのか。事件の『リクルーター役』を務めた茨城県龍ケ崎市の男(20)と面会し、事件に至る経緯を探りました。

実行役の中高生3人ら仲間と共謀して2024年10月20日に光市の民家に強盗に入ろうとした強盗予備の罪に問われていた男は、2025年4月22日に山口地方裁判所で判決を言い渡されました。男は現場に同行していなかったものの、中高生らを集めるなどした『リクルーター役』を務めたとして、懲役1年6か月・執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。

逮捕からおよそ5か月。山口拘置所でその判決の前日に記者との面会に応じた男(20)は、当時について振り返りました。

■「金に困っていた」
当時、建設業の会社で働いていた男。あるとき、会社の従業員が作業事故を起こし、治療費の補填などで給料が支払われなくなったことが数か月続いたといいます。

―「給料が支払われず、金に困っていた」―

そんなとき、親しくしている2歳年上の先輩(事件に関与し懲役2年4か月の実刑判決)からの誘いを受け、報酬を得るため犯行に関与することになったということです。

■『闇バイト』などで中高生3人をリクルート
先輩から実行役3人を集めることを頼まれた男。インスタグラムのストーリー機能で『金稼ぎ(はい/いいえ)』と投稿。すると、2000人以上いたフォロワーのなかから、面識のない千葉県の男子高校生(当時18歳)が反応を示し、実行役として採用。そして、残りは自身の後輩で、当時高校生だった2人に声をかけました。

―「強盗と知らずに当日、逃げられてはもともこもないので、強盗ができる人が欲しかった。なので、3人には仕事の内容を包み隠さず、事前に犯行の詳細を伝えていた。」―

しかし、犯行の2日前、後輩の2人が突然「行きたくない」と男に申し出てきました。そこで男は「行けないなら代わりを用意しろ、見つからないなら行ってもらうことになるよ」などと伝え、後輩らが代わりとして見つけてきたのが、今回の犯行に関与した茨城県の男子高校生(当時16歳)、男子中学生(当時14歳)の2人だったということです。こうして、互いに面識のない中高生3人が実行役として集まったのです。

■『武田信玄』を名乗り中高生らに指示
犯行当日、男は秘匿性の高い通信アプリを使って、先輩から流れてきた犯行の指示などを実行役の中高生に伝えていました。その際、戦国武将の『武田信玄』を名乗り、名前を明かさないまま中高生たちとやりとりを続けました。

―「自分は指示役ではない。実行役と指示役をつなぐ役割だった。」―

中高生3人は民家に強盗に入ろうとしたところを警察に職務質問され、逮捕。強盗の計画は失敗に終わり、男もその1か月後に逮捕されました。

(記者)「今回の事件を犯して、いま率直にどう思いますか?」
(男)「捕まった以上は、受け入れてけじめをつけないといけない。これまでの人間関係を切ることはないと思うが、自分なりにがんばって、もう少しまともな男になりたいと思います。」

■懲役1年6か月・執行猶予4年の有罪判決
4月22日、山口地裁で開かれた男の判決公判。安達拓裁判官は「男は本件の首謀者ではないが、現金欲しさに本件に加担し、強盗の実行役となる少年を集めたほか、当日実行役に指示を出すなどしており、果たした役割は大きい」などとして、男に懲役1年6か月・執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。


(04/23 10:36 山口放送)

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