■我が子を亡くした親たち…「熊本エンジェルの会」家族に寄り添い30年(熊本県)
病気や事故などで我が子を亡くした家族のための会が熊本市にあります。会を作った女性も長男が幼い時に亡くなり30年にわたって多くの家族に寄り添ってきました。そして30年経って思うことがありました。
■宮本儀子さん
「大切な子を亡くしたあとに『なんでうちだったんだろう』でも本当に一人で孤独になってはいけない」
熊本市の宮本儀子さん(58)。今から31年前、2歳の長男・孝祐くんを高熱とともに起きた急性脳症で突然失いました。
■宮本儀子さん
「(孝祐くんが亡くなって)30年以上経っているわけで、(生きていれば)33歳になっています。どんな大人になってるかなって想像もつきません。でも2歳の子を見ると、ああ、この子似てるなと思うとやはりつらいことはあります」
子どもを亡くした家族が集う「熊本エンジェルの会」です。孝祐くんが亡くなり宮本さんがどう生きていけばいいのか分からなくなったとき、同じ境遇の人と話をしたいと設立し今年30年を迎えました。年に4回の交流を重ね、これまでの参加者は300人を超えます。
中には、20年近く参加している人もいます。
■浅井喜子さん
「(長男を)4歳9か月の時に旅立たせてしまった…まだちょっとそんな感じかな。ここにきたら駿太郎の話ができるし、駿ちゃんのお母さんになれるのでこの会は本当に大切」
エンジェルの会は悲しみや苦しみをありのまま語れる場所です。しかし、30年続けるなかで宮本さんは会をやめようかと悩んだこともあったといいます。
■宮本儀子さん
「日にちが過ぎると、亡くなって間もない方に自分自身が寄り添えるかなという不安はありました。(長男を亡くした時の)悲しみ、苦しみというのを抑えておくことができるようになったので」
悩みながらも続けてこられたのは、自分のように同じ境遇の人を孤立させたくない、そして今の自分だからこそ伝えられることもあると思ったからです。
「最初の頃はもう死にたくて死にたくてしょうがなかった。でも今は生きていたいし、生き抜きたいっていうのが目標ですね」
去年11月に1歳の息子を亡くした両親はこの日、初めてエンジェルの会に参加しました。
■小田俊哉さん
「絃晟の父と母で存分にいられる空間というのはやっぱり心地いいなって思いました」
■小田茉帆さん
「この経験って悲しい辛いだけの経験じゃないんだなって思って。こうやって新たにつながったご縁や人の優しさに救われていることをひしひしと感じる」
参加者の思いに共感し、これまでの自分と重ねる宮本さん。「エンジェルの会」でのつながりが生きる希望になればと願っています。
■宮本儀子さん
「生きてていいんだよ、笑ってていいんだよ、食べていいんだよ、普通の生活をしていいんだよってことを伝えたい」
宮本さんは、9年前に夫を亡くしたあとも活動を続けてきましたが、数年前に自身も病を患い「エンジェルの会」での講演は、この日が最後と考えています。しかし会自体はこれからも続けていきたいと話しています。
(07/23 20:03 熊本県民テレビ)
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