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死の4日前に語った…娘への愛あふれたメッセージ がんと闘った男性の"生きた証"(熊本県)



県民の人生に耳を傾ける「私のメッセージ」。


6月11日。ひとりの男性が63歳の若さでこの世を去りました。死の4日前に語った大切な家族への愛情です。八代市出身の津田昭彦さん(63)は、約30年前に妻・美貴さんと結婚。廃棄物処理などの会社を経営していました。しかし5年前にすい臓がんが発覚し、闘病生活が始まりました。

■妻・美貴さん
「2021年6月に手術をして、そのあと抗がん剤治療を経て回復したかなって安心したときもあったけど、やはり難しかった」



その後、がん治療の苦痛を和らげる緩和ケア病棟に移ります。「生きた証を残したい」。津田さんは病室でインタビューに応じてくだったのです。

■緒方太郎キャスター
「一番うれしかった瞬間は今まで生きてきた中でどの瞬間でしたか?」

■津田昭彦さん
「子どもが生まれたことですね」

1人娘の朋実さんは結婚から2年後に産まれました。

■津田昭彦さん
「(思い出は)5月で寒いのに、去年の海パンを出してもらって(妻に)ご飯作ってもらって、 ぶるぶる震えて帰ってきたことです。毎年わかっていてもやめられなかった。やっぱりこの子だけはという生きがいはあったな」


■妻・美貴さん
「知人の結婚式に行って『絶対俺は嫁にやらん』ってまだ小さい時から泣いて帰ってきていました。娘のことを溺愛していました」

緩和ケア病棟の病室からは、娘が通った高校が見えます。当時は仕事が多忙で、高校の行事に参加できなかった津田さんにとって特別な景色です。

■津田昭彦さん
「子どもが育った背景をそばで見ていられることそれがうれしかったです。環境としてはですね」



娘・朋実さんは27歳になり、立派な社会人に成長しました。それでも津田さんには、愛娘に伝えたいことがあります。

■津田昭彦さん
「早く『伸びしろ』を見つけてほしい。娘からよく聞くのが『私はこうじゃなかった。ああじゃなかった』という言葉。人は何かをやるために生まれてきたんだろうけども、そこがなかなか誰でも見つけきれないんですよね。そこが『伸びしろ』だと思うんですよ」

そして、約30年間、寄り添ってくれた妻へ。



■津田昭彦さん
「幸せでした。幸せだ俺は。ありがとうですよね」

がんによる体の痛みがありながらも、万感の思いで語ってくださった津田さん。家族への愛情を胸に、4日後、この世を去りました。


(07/16 20:22 熊本県民テレビ)

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