■「何年たっても苦しい」熊本地震 捜索打ち切り後も独自で息子を探し続けた母親の9年(熊本県)
2016年4月16日の未明に発生した熊本地震の本震では、南阿蘇村の阿蘇大橋が崩落し、当時大学生の大和晃(ひかる)さんが亡くなりました。本震から9年の16日、地震が発生した午前1時25分、母親ら家族は、崩落現場の近くでその時を過ごしました。
阿蘇市で暮らす大和忍さん。9年前の本震で、息子の晃さんを亡くしました。
■大和忍さん
「暗くて寒くて冷たい水の中に長くいたのかな。それをこの時間にここに来て、この苦しみを少しでも自分が親として感じられたらなって」
南阿蘇村では熊本地震で大規模な土砂崩れが発生し、本震で阿蘇大橋が崩落しました。晃さんは2016年4月14日に起きた前震の後、断水で困っていた友人に車で水を届けた帰りに行方がわからなくなりました。
■大和忍さん(2016年)
「会いたいです。抱きしめたいです」
家族は行政の捜索が打ち切られた後も、独自で晃さんを探し続けました。そして地震から4か月後の8月、阿蘇大橋の下流約400メートルの河原で車が発見され、中から晃さんが遺体で見つかりました。
そして迎えた9回目の4月16日。これまで一緒に花を供えていた夫の卓也さんは去年、この世を去りました。忍さんは今年、晃さんの兄・翔吾さんと崩落現場近くの祭壇を訪れました。
■大和忍さん
「月が見えて谷底や川の流れが見えたので、一段と晃が巻き込まれたところを想像してみたり、(亡くなった)主人も隣にいて一緒に見ているんだろうなって。一緒に晃のことを思ってるんだろうなって思いながら。皆さんの9年はどうでしたか。熊本地震から9年。毎年私に聞かれるのですけれど、 正直言って言葉が見つかりません。子どもを亡くした苦しみからの9年というのは、それはそれは苦しくてつらい何年たとうと。きれいな言葉で揃って前向きにとか言ってみても、なかなか進めるものでもなく、そんな風に今年はお話してみようと思いました」
(緒方太郎キャスター)
取材した永島由菜キャスターです。
(永島由菜キャスター)
本震発生時刻の南阿蘇村は寒く、真っ暗で静けさの中に川の音だけが響いていて、立っているだけで恐怖を感じました。土砂崩れに巻き込まれた晃さんは、どんなに怖かったかと思いました。
(緒方太郎キャスター)
母親の忍さんは、この9年のことをどのように感じていましたか?
(永島由菜キャスター)
忍さんは、晃さんを捜索していた日々を今でも毎日思い出すと話されていました。晃さんを失ったご家族の悲しみははかりしれません。ただ、22歳の大学生だった大和晃さんの尊い命が熊本地震で失われたことを今、熊本に住む1人として語り継ぐことの必要性を改めて感じました。
(04/16 19:39 熊本県民テレビ)
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