■【参院選】投票率大幅アップの中 熊本を制した自民…結果から見えることは(熊本県)
7月20日、県内各地の投票所には多くの有権者が…。午後8時前、緊張した面持ちの支援者たち。各陣営に続々と人が集まり、運命の瞬間を待ち続けました。
自民への大逆風が吹き荒れる中、組織戦を展開し3選を狙う馬場成志さん。
主要野党の統一候補として自民の牙城に挑んだ鎌田聡さん。
参政党の勢いそのままに熊本でも台風の目となった山口誠太郎さん。
全国屈指の自民王国・熊本でもここ最近にない激戦が繰り広げられました。
熊本選挙区の投票率は59.03%で、前回を大きく上回るプラス9.91ポイントと注目度の高さがうかがえました。戦況を見守る各陣営。午後10時半すぎ。その瞬間が…。
激戦を制したのは自民党の馬場さん。32万8373票を獲得し、新人3人を抑えて3回目の当選を果たしました。
■自民党・馬場成志さん
「今回の戦いは本当に逆風の中で始まって、途中でもいろんなことが起きました。信頼を取り戻すことがどれだけ難しいことかを改めて心に刻んで、しっかりと熊本のため、国のために働いていきたいと存じます」
一方、敗れた2人は…。
■立憲民主党・鎌田聡さん
「ひとえにわたしの力不足ということに尽きると思っております本当に申し訳ございませんでした。これで熊本の戦いは終わったわけではありません/この戦いをさらに大きな輪、大きな力に悔しさをばねに政治を前に進めていく」
■参政党・山口誠太郎さん
「私に何とか国政にいってほしい、日本を守ってほしい、変えてほしいと私に投じてくれた方々の声を国政に届けることができないと思うと非常に悔しい思いでいっぱいです」
そして一夜明けたきょう議席を死守した自民党県連は国会議員や県議らが集まり、参院選を総括しました。脅威となった参政党について…。
■自民党県連・前川收会長
「台風の目であったことは間違いありません。そこまで取るかというくらいの形になった」
自民が盤石だった熊本でも大きく揺れた参院選。県連は国民から信頼される政治を続けていくと決意を述べました。
【スタジオ】
このほか、比例代表での熊本県関係の当選者です。自民党の新人で、人吉市出身の元総務省職員、犬童周作さんが初当選。また自民党の現職で熊本市出身の本田顕子さんも2回目の当選を決めています。
(藤木紫苑記者)
改めて、こちらが開票の結果です。
(永島由菜キャスター)
約6万票ずつ差が開き、馬場さんの得票数は全体の半数を下回っていますね。
(緒方太郎キャスター)
この結果からも「自民党王国」と言われる熊本に異変が起きたことが分かります。
(藤木紫苑記者)
ここで参考となるのが、去年3月の県知事選挙の結果です。自民党が中心に支援した木村知事の約38万票に対して、野党が支援した幸山さんは28万票あまり。今回、投票率は10ポイント近く上がりましたが、馬場さんは6万票、鎌田さんは2万票少ない結果となったんです。この票を奪ったのが参政党の山口さんでした。
(緒方太郎キャスター)
自民党県連も「参政党に票を削られた」と受けとめていましたが、それだけ県民の投票行動に“変化のあった戦い”と言えるわけですね。
(藤木紫苑記者)
地方政治に詳しい熊本大学法学部の伊藤洋典教授は、今回の参院選の特徴として「参政党の躍進」で若い世代の政治参加が進んだと指摘しています。県内でも子育て世代など比較的若い世代に支持が広がりました。伊藤教授は、半導体大手TSMCの進出などの影響で急激な物価の上昇や賃金格差、外国人との共生を身近に感じている人たちが、参政党の訴えに耳を傾けたのではないかと話しています。
(緒方太郎キャスター)
わたしたちの出口調査でも、無党派層の中で、今回投票した政党を見てみると、今回は参政党に入れた人の割合が伸びているのがわかります。
(永島由菜キャスター)
県民自身が今回の選挙をどう受け止めたのか、街の声を聞いてきました。
【VTR】
■20代女性
「今回初めて行きました。賃金上げたりとか、働き方の見直しをしてほしい」
■70代女性
「接戦良好と言ってましたよね。だから今回は行こうかなと思って。生活面を楽にしてもらいたい。年金とかがもうちょっと上がってくれたらいいなと思う」
■40代男性
「あんまりいろんな経済的にも良くないので、違う党に託してみようかなという思いで行きました」
【スタジオ】
(永島由菜キャスター)
やはり物価高や年金など身近な問題への関心が投票率にも反映されたようですね。
(藤木紫苑記者)
今回の投票率は59.03%と、前回に比べ10ポイント近く高くなりました。
(緒方太郎キャスター)
期日前投票も含めて選挙への関心が高まりました。
(藤木紫苑記者)
伊藤教授は投票率が上がっただけで良しとせず、選挙が終わった後の私たちの行動が大切だと話します。
【VTR】
■政治学専門 熊本大学法学部・伊藤洋典教授
「関心をずっと持ち続けるということが大事。今度はその選挙の後、それぞれの政党が公約として言っていた政策がどう実現するのかを注意深く見ていくということが大事。一挙に何かが変わるということがなくても根気よく見ていくことが大事になってくる」
【スタジオ】
(藤木紫苑記者)
私たちが関心を持ち行動を起こせば政治は変わります。どんな熊本にしたいのかどんな社会が望ましいのか、選挙をきっかけにして日ごろから考えていければと思います。
(07/21 19:44 熊本県民テレビ)
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