■業務上横領の罪に「犯罪の証明がない」元病院長(73)に無罪判決(熊本県)
業務上横領の罪に問われていた公立玉名中央病院の元病院長に3日、無罪が言い渡されました。熊本地裁は「犯罪の証明がない」と結論付けました。
無罪判決を受けたのは、旧・公立玉名中央病院(現・くまもと県北病院)の元病院長中野哲雄被告(73)です。中野被告は2016年3月、自分名義の車を購入するために研究や業務のための経費700万円あまりを病院の口座から横領したとして2021年に逮捕されました。熊本地検は不起訴としましたが、検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて再捜査を行い、おととし一転して起訴。
裁判の主な争点は、
■口座の金が病院のものか中野被告個人のものか
■使い道が研究や業務に限定されていたかどうか です。
中野被告は、口座の金の使い道について病院が明確に定めておらず、名義代表者である自分に決める権利があったとして無罪を主張していました。
3日の判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は口座の金が病院のものであったと認定。一方で「その使い道を定める取り決めがなかったことは明らか」と指摘したうえで「犯罪の証明がない」と述べ、無罪を言い渡しました。(求刑:懲役3年)
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
取材した内藤記者とお伝えします。改めて判決のポイントを教えてください。
(内藤有希子記者)
裁判の主な争点、
1つめは「口座の金が病院のものか、中野被告のものか」。
2つめは「金の使い道を研究や業務に限定するという契約があったのか」ということです。
1点目について、口座の金の多くは中野被告が実施した治験の報酬でした。熊本地裁は、治験の契約は製薬会社と病院が結んだもので「病院のもの」と判断しました。
(永島由菜キャスター)
病院のお金を使ったのであれば横領にあたるのでは?
(内藤有希子記者)
無罪となったポイントが、2つ目の争点です。金の使い道について中野被告は「自分に決める権利があった」と主張していましたが、熊本地裁も病院が金の使い道を限定していた証拠はなく、契約があったとは言いきれないと判断しました。
以上のことから無罪が言い渡されました。判決を受けて記者会見を開いた弁護団が、中野被告のコメントを読み上げました。
■弁護団主任・原啓章弁護士
「裁判所の方には正しい判断をしていただき、今はホッとしておりますというようなコメントを聞いております」
(緒方太郎キャスター)
不起訴から再捜査を経て起訴、そして無罪と二転三転しましたね。
(内藤有希子記者)
無罪判決を受けて熊本地検は、「判決内容を確認し適切に対応したい」とコメントしています。また、当時病院の運営に携わっていた玉名市は「判決の詳細な内容を把握しておらず、現時点でのコメントを差し控える」としています。
(09/03 20:04 熊本県民テレビ)
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