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事業者公募が不調の新ホール 文化センター跡地での設計者は今、何を語る?【徳島】(徳島県)



連日、県議会が紛糾しています。

議題はもちろん新ホール。

事業者の公募に2度にわたって申し込みがなく、計画は完全に暗礁へ乗り上げた格好です。

「いったん立ち止まるべき」との声も聞かれる中、文化センター跡地に建設されるはずだったホールの設計者に話を聞きました。

(新しい県政を創る会・仁木啓人 議員)
「立ち止まるというのは、足を引っ張っているわけではない。これは県民のためです」
「県民の金をどうやって有意義に、知事が言うように最小のコストで最大の効果にするかと、この時間も含めて一回立ち返って欲しい」

(自民党県民会議・北島一人 議員)
「県として今までのやり方が合っていたのかどうか検証しないといけないと思う」
「もう建てることだけが目的になってしまって、本当にいいものを県民のみなさんのためにという観点が今、抜けている感じがする」

事業者公募が2度に渡って不調に終わった新ホール計画。

県議会では、計画そのものの見直しを求める声が相次いでいます。

あの文化センター跡地に建設されるはずだったホールの設計者、建築家の石上純也さんです。

(建築家・石上純也さん)、
「今のこの状況を踏まえて、藍場浜公園でやることと、元々の計画・文化センター跡地の方でやることのメリットデメリットというのを冷静に考えられるチャンスでもあると思うので、そういう時間として焦らずに物事を考えた方が僕としてはいいと思う」

ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞などに輝いた石上さん設計のホールは、県民に大きなインパクトを与えました。



(森本アナウンサー)
「石上さんは改めて考える機会、時期でもあると」

(建築家・石上純也さん)
「どっちがいい悪いかという話ではなくて、その辺の議論が県民の方たちが分かるように、なかなか伝わっていないと思うので」「議会だけではなくて、今回つくる劇場の役割や意味を含めて、県民の方たちが分かりやすく理解して選択できるような、そういう状況、情報を伝えていただけたらというのが僕の思い」


これまで2度の公募で県は、「設計・施工」を一括で担う事業者を募集してきました。

この方式について、石上さんは次のように話します。

(建築家・石上純也さん)
「設計者と工務店が最初からコラボレーションすることになるので、細かい調整、施工に関わる話だとか、金額に関わる話だとか、いろんなことを工務店の方たちと最初から話していけるというところがいいところ」
「一方で、これだけ大きいプロジェクトになっていくと、参加できる工務店も限られてくる」
「本当にこの工事がちゃんと最後まで行くのか行かないのかという判断もあるので、工務店としてはその辺のリスクを見込んで参加する・しないというのがある」
「そうすると、参加できる工務店は限られてしまうから、結局、参加できる工務店と組まなければいけない建築家も限られてきて、すごく幅が狭まってしまう」

2度の入札不調を受け、県は「他の県で事業の進捗が見られる」として、「設計」のみを先行して発注する案も検討しています。

この発注法について石上さんは。

(建築家・石上純也さん)
「良いところで言うと、デザインは工務店の制約に関わらず自由に設計できる」
「そのかわり、設計者が設計したものを、後でそれをもとに入札してくることになるので、金額が想定よりも上がってしまう」
「元々想定していた工事のやり方が出来ないなどの不確定要素が結構多く含まれるというところが、悪いところではあるかもしれないが、良いところ悪いところ両方あるので、どっち(の手法)が良いかというのはなかなか言えない」


文化センター跡地での従来の計画は、2024月に実施設計が完了。

しかし、中心市街地まちづくりの見直しを図る後藤田知事により、建設地は藍場浜公園に変更、計画は中断されました。

ところが、石上さんら共同事業体と県との間で結ばれた基本協定は、いまだ解除されていません。

(建築家・石上純也さん)
「県の方たちもすごい情熱を持ってこのホールをつくることに取り組んでいることは、僕たちずっと仕事をしてきて伝わってきてたし、実際そうだったと思うので」
「県の方針がこういう風に変わったから、こういう風に変更して欲しい、もしくはこういう状況で考え直して欲しいというところを言ってもらえれば、僕たちも柔軟にそこに対して、どれが現実的なのか、どれが今、県が望んでいるものなのかというところを、今までの延長で考えて実現していけるところはあると思う」
「今まで積み上げてきたものがあるので、そこを考えてもらえたら嬉しい」

現状を受け、改めて新ホール計画への参入に意欲を見せる石上さん。

計画に携わった者として、そして建築家として願いは一つ、県民が待ち望む新ホールの完成です。

(建築家・石上純也さん)
「僕もこのプロジェクトはじめて、初めて徳島の地に足を踏み入れたが、文化度が高いというか文化的なポテンシャルがすごく高い」
「阿波踊りのあのお祭りの景色なんていうのは、僕はあんなお祭り日本で見たことなくて、言ってみたら、ヨーロッパとか南米にあるフェスティバルみたいな感じだと思う」
「町中でいろんな人が舞い踊っていて、あの光景っていうのは、日本のどの場所にもないものだと思うし、それがお祭りの時だけじゃなくて、『連』によって、日常的に生活の一部としてそういう活動をしてるっていうところを、すごく理解できたので、徳島の文化的な特性や歴史、アクティビティなどを、外に見せていけるようなそんな場所が、『どんな形でも』できたら良いなと思っている」

ここまで県議会で紛糾が続く新ホール問題について、建築家の石上純也さんに聞きました。

(12/16 17:47 四国放送)

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