■秋田県は事故を起こした風車と同じ機種のある県有地周辺への立ち入りを制限 現在の法律では全国一律の規制なし 万が一に備えた対策と法整備は?(秋田県)
今回の事故を受けて、県は同じ機種の風車がある3つの県有地に看板を設置するなどして独自に周辺の立ち入りを制限しています。
現在の法律では風車周辺への立ち入りに関する全国一律の規制はありません。
万が一に備えた対策と法整備が求められています。
風車の羽根が折れた事故を受け、県が今月16日から立ち入りを制限しているのは、能代港の緑地公園と工業用地、それに本荘港にあるそれぞれ1基の風車周辺です。
このうち本荘港の風車は、2018年に羽根の落下事故が起きています。
藤丸記者
「事故を受けまして周辺一帯は一時、立ち入り禁止となりましたが、風車の修復を受けましてその規制は解除されました。ご覧のように奥の方には釣り人でしょうかたくさんの車が乗り入れている様子も確認できます。そして、こちら秋田県内で発生した風車事故を受けて緊急点検を予定しておりますと看板が立てられています」
風車周辺に立ち入る際は十分に安全を確保するよう呼びかけた看板。
しかし、明確に通行を規制しているわけではなく、文字も小さいため通り過ぎる人の姿も。
住民
「きょうは天気良くてよ」
記者
「気晴らしになりますか?」
住民
「気晴らしなるな。2時間ぐらいいてよ、帰っていくのよ。またな」
住民
「たまにいいもの拾いにくるこれがあんまり良くて拾ってきた」
7年前に羽根が落下したときは半径100メートルの範囲に破片が飛んだ、この風車。
その時は幸い、人などに被害はありませんでした。
風車の目と鼻の先には小型の船を停泊させて、保管する施設があります。
オーナーから預かった大切な船。
施設の管理者は、より徹底した安全管理を求めています。
本荘マリーナ 金田崇史さん
「その当時も落下物による被害がないか非常に心配していたところではありましたんで、また同じようなことがあれば、そこはもちろん困るなというところではありあすね」
「日常の点検、安全確認を徹底していただいて、今後起きないようにというところに努めていただければというところですね」
今回秋田市で起きた事故を受け、風車を設置した茨城県の会社は19日、目視による緊急点検を行ったということです。
また、県は看板の内容を、より強く、立ち入り制限を呼びかけるものに変えることにしています。
一方、以前から周辺への立ち入りが制限されてきた風車があります。
日本有数の松林に多くの風車が立ち並ぶ、能代市の風の松原風力発電所です。
地元企業を中心とした事業者が2016年に運転を始めました。
安全を確保するため、立ち入りの制限を続けています。
風の松原風力発電所 石井昭浩所長
「私ども45度はマストだと思ってるんです。風車のナセル・中心から45度の角度は、それ以上離しておかないとということで考えておりますので、その45度に入らないように柵を入れてるところです」
どんなに対策をしても風車は壊れるかもしれない。
万が一のケースを想定しているといいます。
速やかに異常を見つけるため新たな取り組みも始めました。
ドローンで撮影した映像を専門の点検士がその場で確認する取り組みです。
風の松原風力発電所 石井昭浩所長
「今までだとドローンで点検を行ったとして、写真をドローンのオペレーターが撮ってそれをパソコンで後から見て、そして異常があればもう1回撮り直す。それから調べる手間がかかっていましたが、今回は緊急点検で点検士が状況をリアルタイムで見る必要があると、そういうふうに判断しましたので、このようなドローンを使ったリアルタイム点検を行っております」
19日の点検では、1基の風車で羽根の塗装が剥がれているのが見つかりました。
運転に支障はないということですが、大事をとって運転を止め、補修を行うことにしています。
事業者によって立ち入り規制や点検方法が異なるケースもある風力発電。
現在の法律では全国一律の規制はありません。
すべての風車が等しく危険性を取り除いて運転できるように、対策と法整備が求められています。
(05/20 18:14 秋田放送)
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