■逸品B人形改造クリエーター 金賞受賞の逸品作品(岩手県)
今月のシリーズ「逸品」です。3回目は、プラモデルメーカー主催の「人形改造コンテスト」で、4度も最高賞に輝いた矢巾町の男性です。数ある作品の中で、男性にとって、忘れられない「逸品」とは。
リビングで、黙々と 制作に打ち込む、矢巾町の佐藤邦彦さん。手掛けているのは「人形改造」。元となっているのは、プラモデルです。
佐藤邦彦さん
「タミヤの、兵隊さん人形を、いろんな形で変えて、改造して好きな人に似せて作るという、そういうコンテストがね今から54年前にあったんで」
当時、最年長で参加した第1回のコンテストで、銀賞を受賞。制作したのは「パイロット」でした。
佐藤さん
「ウチの親父が、零戦乗りだったので、よし、じゃあ飛行機のパイロットを作るのが、私には、資料もあるしということで、参加したんです」
佐藤さんが プラモデルに興味を持ち始めたのは高校生の頃。山形大学・工学部を卒業後、関東の自動車会社に就職。その後、高校の教員に転職して、県内の工業高校で教鞭を振るいました。
父親と一緒に、模型雑誌で軍用機の連載を18年。今でも、季刊誌の連載を続けています。父親の影響が、もう1つ。小学6年から続けている、版画の年賀状。37歳のとき「全日本年賀状版画コンクール」で県内で初の郵政大臣賞に輝きました。
佐藤さん
「好きこそ もののっていうふうになるかどうかわかりませんが、基本はそんな所でしょうね」
マルチな才能は、「人形改造コンテスト」でも遺憾なく発揮されています。毎年、話題となったものをテーマに作る精巧な作品。弓矢はデッキブラシを使って1本1本作ったそうです。
佐藤さん
「当然自分で考えて、それを具現化するっていうのは大変なんですけど、完成する喜び、そして、見てもらった人に楽しませてあげたいという。全国にライバルであり仲間がいて、お互いに交信しあって、激励しあって、"あいつ今年はどんな手でくるんだろう?""やっぱりすごいな"ってお互いに、思っちゃって。だから面白いんですよ」
いつしか、全国的に名が知られた「佐藤」さんにとって、「人形改造」で忘れられない"逸品"があります。
佐藤さん
「審査委員長の方が、"この作品は素晴らしいけど、佐藤さんを超えていない"と言われまして」
それが、1985年の作品「お札トリオ」です。
佐藤さん
「お札が3つ出た最初の、福沢諭吉と夏目漱石と新渡戸稲造。それぞれに、お札の表裏をうまく拝して作った作品だったんですけど。その時は"佐藤さんを超えていない"という。これはある意味では、"佐藤さん"というのを認めてくれているというのが逆に、すごいうれしかったです。でも賞には入らなかったという」
「佐藤」さんが初めて金賞に輝いたのは、第42回のコンテスト。以来、世相を反映した作品で、4度金賞を受賞しました。歓喜の瞬間を人形で再現した「WBC 優勝」。輪の中心から離れた「佐々木朗希」選手まで盛り込みたかったと「佐藤」さんの ポリシーが感じられる 作品です。
早くも、来年に向けた作品作りが始まっています。
佐藤さん
「今たまたま続けているのは、ボディ・アートということで、女体を組んずほぐれつして、いろんな格好にできているというのを、たまたまYouTubeで見て、"これは誰もやらんだろう"という。これなら、やりがいがあるのかなということで。たった5cmのものなんですけども、1体ですね。それをいかにして作るか。なかなか大変なんですが」
それでも作り続ける理由が、「佐藤」さんにはあります。
佐藤さん
「いい作品で、"おっ、この手できたか"っていうふうにライバル・仲間を、驚かせたい。して楽しませたい。その連続です。これはね、何歳までいけるかな」
長年の経験とアイデアで、人々に驚きと感動を与える「人形改造」。また新たな作品が、「佐藤」さんの手から生み出されます。
(05/15 18:43 テレビ岩手)
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