■物価高を背景に…医療機関の多くが経営状況を不安視〜山口県医師会が調査(山口県)
物価高などを背景に、県内の医療機関の多くが経営状況を不安視していることが県医師会の調査で分かりました。
医師会や、医療機関の従業員でつくる労働団体は、診療報酬の引き上げなどを訴えています。
(県医師会・加藤智栄会長)
「今のままだと、ある日突然地域の病院や診療所がなくなってしまうかもしれない、危機的な状況」
「医療機関の経営危機」と題し、県医師会が記者会見を開きました。
ことし6月以降、県内の医療機関を対象としたアンケートで経営状況を尋ねたところ、病床数200床以上では69%、200床未満では80%が「悪い」「やや悪い」と回答しています。
病床を持たない診療所でも76%にのぼっています。
3年前との比較でも実に8割前後の医療機関が、「悪くなった」「やや悪くなった」と回答しています。
原因として、賃金や物価の上昇に対して診療報酬が十分でないことや、おととし以降、国からの新型コロナ関連の補助金がなくなったことを挙げています。
県内では、患者となる人口の減少も進んでいます。
中でも、医療機関の利用が多い65歳以上の高齢者の数も、すでに減少傾向に転じています。
(県医師会・森健治理事)
「病院には内部留保なんて全くない。ほとんどが借り入れで機械を買う状態が続いている」
(県医師会・加藤智栄会長)
「今のようにインフレが進行していけば、収入のほとんどが公定価格である診療報酬なので、病院等の医療機関の経営が成り立たないのは明らか」
加藤会長は、診療報酬の引き上げや、高額な医薬品や医療機器に軽減税率を導入することが必要と述べました。
また、医療機関の経営悪化は労働環境にも影響を与えているとして、医療従事者などでつくる3つの労働団体が県に要請書を手渡しました。
物価高騰や人件費の増加を補えるよう診療報酬を抜本的に引き上げることや、公費による賃上げ支援策の実施を国に求めるよう要請しています。
団体の調査によると、県内6つの公的病院で昨年度、看護師の退職者が採用者数を上回り、人手不足により時間外労働や夜勤が増えているということです。
(山口民医連医療生活協同組合健文会・地域福祉室森山美千留室長)
「病院の経営が悪いので、福利厚生が削られたりとか条件が悪くなって辞めざるを得ないということがある」
診療報酬の改定は2年に一度行われ、次回は来年の見通しです。
(08/28 19:23 山口放送)
・TOP
Copyright(C)NNN(Nippon News Network)