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生活保護の基準額引き下げ訴訟 熊本の原告敗訴の逆転判決 福岡高裁(熊本県)



生活保護の基準額引き下げは憲法違反だとして熊本県内に住む受給者が取り消しを求めた裁判で、福岡高裁は21日、原告の逆転敗訴となる判決を言い渡しました。

この裁判は、国が2013年に生活保護の基準額を引き下げたのは「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法に反するとして、熊本県内に住む受給者が熊本市などに減額処分の取り消しを求めたものです。国は引き下げの理由について、最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の受給額を下回る逆転現象を解消するためなどと説明していました。

1審の熊本地裁は2022年、「引き下げの判断や手続きは厚生労働大臣の権限を超えている」と違法性を認める判決を言い渡し、熊本市などが控訴していました。


そして21日、福岡高裁の新谷晋司裁判長は、「基準額の引き下げで最低限度の生活水準を明らかに下回ってはおらず、厚生労働大臣の判断に裁量権の濫用があるとは認められない」などと述べ、1審判決を退ける逆転判決を言い渡しました。


■原告団 浅井勝也副団長
「予想外といいますか、ただただ、あ然として聞いていました。戦うという気持ちは消えていないので、これからまた頑張ります」

■熊本弁護団 阿部広美事務局長
「本当にひどいなと。国側の主張をまさにうのみにした、何の批判的な視点もなく、私たちが投げかけた悲観的な視点についてはちゃんと検討していない」

弁護団は上告する方針を示しました。一方、熊本市は「今後も生活保護の適正実施に努めてまいります」とコメントしています。

生活保護の基準額引き下げをめぐっては全国で30件の裁判が起きていますが、1審で原告が勝ち、高裁で逆転判決が出るのは大阪に続き2例目です。

(05/21 18:58 熊本県民テレビ)

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